「え、なんで?」
「好きな人がいるんで」
「マジでぇ!?」
休憩室で話しているというのに、フロアにまで響きそうな声でリアクションをする柳さん。
思わず、少し離れているあたしも、片耳をふさいだ。
「マジ?どんな子?」
「どんなって……」
「絶対可愛いっしょ。美人っしょ」
「……ですね」
上沢さんの返事に、「やっぱなぁ…」と頷いている二人。
へー。意外。
本当にそんなふうに答えるんだ……。
(こう見えて、付き合っている期間は浮気とかしないし)
確かにああ言ってた。
そのあとに言った台詞は最低だったけど。
「っつーか、これ。
社内の女どもが知ったら、絶対に泣く女多いだろ」
ははっ、と笑いながら、他人事のように柳さんは笑っていた。