歪んだ愛しさ故に

 
「合格―――」

「……」


唇を離されたときには
半分、自分の中の女という生き物が出かかっていて


ただじっと
上沢さんの顔を見つめた。


そんなあたしの瞳に
目を奪われたように上沢さんは言葉を失っている。



このまま
彼に抱き着いてしまえば
きっとあたしは昔に戻る。



本能のままに生きたあの頃―――。



(信じてたのにっ……)


「!!」



途端に引き戻される
一人の人の声。


自分を見失いそうなところで思いとどまり
もう一度上沢さんの顔を見つめ直した。