「ごめん。琴音、健太!
 あたし、仕事メール、一本出し忘れちゃったの」

「ったく……相変わらず抜けてんなぁ……」

「今から会社に戻るんですか?」

「うん。けど、メール送ってくるだけだから、二人はここにいてよ」

「え!?」


予想外の返し。

思わず、自分が思った以上に声が大きく出た。


「だってせっかく楽しいんだもんー。
 会社、すぐそこじゃん?20分くらいで戻るからさ!お願いっ!!」

「いや……」

「了解。さっさと行って来い」


それでも否定しようとしたあたしの言葉に、健太がかぶせて承諾をしてしまった。


「ありがと!じゃ、ちょっと行ってくるね!」

「ちょっ……玲子さん!!」


そしてあたしの呼び止めは虚しく、玲子さんは一人店を出て行ってしまった。