「あ、健太、お疲れー」
「お疲れ。…って、お前また飲みすぎてるだろ」


そう言って、当たり前のようにあたしたちのもとに訪れてきたのは、今まさに話題に出していた……健太だった。


「呼んじゃった。
 本人にグチろうと思って」

「なんだよ、それ。
 お前が、あたしを愛してるならすぐに来い、なんて意味不明なメール送ったからだろ」

「ふふー。じゃあ、愛してくれてるんだ?」

「それなりにな」

「もうっ……」


目の前で繰り広げられる、カップルの会話。

ごく普通の、いちゃついた内容。


だけど……


「ごめん。驚いた?」
「あ、いえ……。大丈夫です」


あたしの視界だけが、そうは捉えない。


時折見せる、歪んだ微笑み。
不自然すぎる満面の笑み。


ああ……。
やっぱりこいつは、最低男なんだ……。