「……ビックリするじゃん?
でもあたしの誕生日、1か月後だっての!」
「えー!それはないですよねぇ」
そのあと、そのまま泣いてしまうかと思いきや、健太の愚痴が始まった玲子さん。
2年間付き合って起きた武勇伝的なことを話し始めていた。
「そもそも、二人の出会いってなんだったんですか?」
「………ナンパ?」
「え……」
「いやー、ね……。
こう見えてあたし、若い頃、結構ヤンチャだったから」
「ははは」と笑いを添えて目を泳がせる玲子さん。
あたしから見ると、玲子さんは真面目で、恋愛なんか一途に見える女の子、ってイメージだった。
だけど玲子さんの口から、ナンパから始まった恋愛をして、若い頃はヤンチャだと言っている。
なんか……
もしかしたら、あたしと同じなのかも……。
「意外、ですね」
「そうー?」
「でも、よくよく考えると……意外でもなさそうですね」
「何それっ」
びしっと突っ込みながらも、笑いを絶やさなくて
玲子さんとなら、この先もいろんなことで価値が合いそうだな……なんて思った。
「玲子」
だけど、その声を聞いた瞬間、
楽しかった雰囲気が一瞬にして崩れた。

