「お互いに、ようやく少しは落ち着きそうだよね」
「そうですねぇ。また次の締めの日が怖いですけど」
「まーね。でも忙しい日は忙しい日でも、週末くらいこうやって飲みに行こうよ」
「もちろんです」


相談したいことがあると言っておきながら、玲子さんはなかなかそのことに触れてこない。

こっちからそれを持ちかけていいのかも分からず、玲子さんの会話に合わせて、ただ世間話で盛り上がっていた。



「あ、そうそう。相談したいことなんだけどね」



お腹も満たされ、アルコールもだいぶ体に摂取された頃、ようやく切り出された本題。

片手に持っていたジョッキをテーブルの上に置き直し、玲子さんの顔を見た。



「健太のことなの」



その瞬間、ドクンと電流が心臓を駆け巡った。