「たとえ、パッと見の印象が変わったとしても……」
「…っ」
捕まれた腕に、
外されたメガネ。
ガラスの隔たりを失って、あたしの瞳を捕えた。
「琴音がイイ女であることには変わらないから」
「……離してっ!!」
全神経で危険信号が鳴り、力の限り健太を押した。
運よく、その腕からすり抜けられ、一歩後ろへと下がる。
だけど所詮、女の力で押されただけでは、致命傷なんか負わせられるわけもなく、すぐに体勢を整え顔を上げた。
「いてぇなー……。
いいの?そんなことして……。
玲子にコレ、見せちゃうけど」
「……」
携帯を開かれ、見せられた写真。
バッチリと写った、あたしと健太のキス画像。
「大事な先輩、失っちゃうね」
にこりと微笑むその顔は、悪魔でしかない。

