寒いのは嫌いで、ひとまずエアコンだけ入れた。


「それで。
 健太はあたしにどうしてほしいわけ?」

「ひとまず、その格好、どうにかなんないの?」

「え?あぁ……」


顔を見上げられ、一瞬何を言っているのか分からなかった。

健太の言いたいことは、今のあたしの真面目スタイル。
だけど今は、それを変えるつもりなんかない。


「……あたし、つい最近までずっとこのスタイルだったの」

「は?……ああ、玲子がなんか言ってたな」


確かに、初めて健太に再会したとき、ちらりと玲子さんが言ってた。
つい最近まで、わざと地味な格好をしてたって……。

それを覚えているなら、話が早い。



「健太のせいだよ」



睨むようにじっと見据える。

憎しみもこもっていたかもしれない。

健太はピクリと眉を動かすと、あたしの顔を見つめ返した。