寒すぎ……。


電車を降りて、すぐにコートのポケットから手袋を取り出すと、慌てて手袋を身に着けた。

吐く息は白く、空気が肌に刺すようだ。


向かう場所は、コンビニ。
思えば、拓に初めてあたしの素性を知られた場所だ。


遠い昔の出来事のように感じるけど
今の自分の姿を見ると、それすらも嘘のように感じてしまうほどで……。


もし、あの時拓に出逢わなければ、
あたしはずっとこんなスタイルだったのかな……。


ついそんなことを思った。




あった……。


コンビニにはすぐに着いて、駐車場にはもう見慣れてしまった一台の車。

ダークグレーのミニバン。
ここからでも分かる、運転席に座っている人の二の腕。


少しだけ緊張した面持ちで、その車に近寄った。