「おはようございますー」
「おはよう」
「おはようございますっ」
しばらくして、聞きなれた声がオフィスに響く。
反応して、ぞくぞくと聞こえる挨拶の返事。
あたしが挨拶をするときの、5倍の反応は返って来てる。
そうやって出勤してきたのは、朝からバラを背中に背負っているんじゃないかと思うくらい爽やかな笑みをした拓で……。
「……」
自然と目で追っていたことから、バチッと絡み合ってしまった視線。
一瞬驚いた顔。
ああ、そっか。
今日のあたしは、こんな格好なんだっけ。
それを思い出すと、なんだか急に恥ずかしくなって、スッと視線をパソコンへと戻した。
今日はとにかく仕事に集中しよう。
私情は一切入れたくない。
拓から何かアクションが来ても、気づかないふりだ。
幸いにも、新企画プロジェクトの打ち合わせもなかったので
任された業務をただひたすらに自分のデスクで行った。

