歪んだ愛しさ故に






「おはようございます」
「おはよ……え!?」


いつもと同じ時間。
いつも通りに挨拶をして、自分の席へと向かって行く。

またいつしかの時のように、出勤したばかりのあたしをみんなが振り返っていく。

そんな視線には目も向けず、淡々と自分の席にあるパソコンを取り出して、電源をつけ起動した。


「ちょっ……琴音!?」

「あ、玲子さん……。
 おはようございます」

「おはよう。って……どうしたの?その格好」

「……変ですか?
 って、変と言われたら、数年間の自分が否定されている気分で困るんですが」

「いや、変と言うわけじゃないけど……」


玲子さんが何を言いたいのか分かる。

あたしを見て、思わず突っ込みたくなる一言。



どうしてまた、昔のスタイルに戻ったの?



あたしはまた、
化粧を一切せず、眼鏡をかけ、髪を一つに束ねて出勤をしていた。