「……いつ、どこに行けばいいの」
《さすが話が早いね》
どんなに怒りを感じても、今のこの状況であたしが逆らうことはマイナスにしかならない。
今は健太に従うのみ。
怒りを抑えて、ただ相手の言葉を待った。
《明日。仕事終わるの何時?》
「早くは無理。忙しいし。……10時」
《了解。じゃあ、10時半に琴音のマンションの前で待ってる》
「……待って」
それを言われた時、ハッとした。
健太の言うマンションは、拓のマンション。
さすがに明日まで、そこに迎えに来られるのは困る。
「そのマンション……」
《あの男のでしょ?》
「知ってたの?」
《さすがに、あの時気づくよ。
……で?琴音のマンションは?》
「そこの近く。
近くにコンビニがあるから、そこにいて」
《了解》
健太は、何もかもお見通しのようで、最後まで含み笑いを絶やさなかった。

