唇が離されたと思ったら、あたしの体がそのままベッドへと押し倒された。


急なこと過ぎて
体も頭もついていかなくて
ただずっと彼のされるがまま。


このまま今日も、体だけの関係を重ねるのか……。


冷静になった頭が、それを理解して
そっと腕をベッドの上へ落とした。


もともとあたしと彼は、こういう関係。

付き合っていると言っても、そこに感情なんかない。
お互いに「好き」という気持ちなんか持ち合わせてないから……。


だからなんとも思わない。

それに今は……



(琴音……)



あたしの前に現れた、アイツの顔を消し去りたいから……。



「拓……」


手を伸ばして、彼の頭に手を回した。

名前を呼ばれて、あたしと視線を絡めた上沢さんの瞳は
すでに男という生き物で、色香が漂っている。