「もうドア開いちゃうってっ……」
「だから?
琴音は俺のものだって、みんなに見せつけられていいじゃん」
「やっ……」
見る見るうちに上がっていくエレベーター。
もうすぐ、あたしたちの会社がある28階へと着いてしまう。
「このまま最後までシちゃおっか」
「やめっ……」
チンと鳴る音。
開きはじめるドア。
こんなところ……
さすがに誰かに見られたら……。
「……なわけないだろ」
「……」
ドアが開いた頃には、上沢さんはとっくにあたしから離れていた。
最悪……
からかわれた……。
恥ずかしさと怒りで、一気に顔まで沸騰しそうになった。

