料理を食べ終えると、お店の女将さんがわざわざ挨拶をしに来てくれた。

「毎度お世話になってますー」

女将さんは気さくな人で、普段からよく声をかけてくれる。
人あたりもいいので、お店の顧客には政治家やジャーナリストなどの、さまざまな職種の方がいるらしい。
なので、女将さんは知識が豊富で話の尽きない女性だ。
少々口が軽いのが欠点だが、本人に悪気はない。
そして母の華道の先生である師範の2人目の妻である。

1人目は師範の女性関係が問題となり離別したらしい。

父が店に久しく姿を見せなかったこともあり、いつもより会話に花が咲いた。