「で?その王さんは俺に何の用なんだ?」

「……ナオトは我々魔族の希望。王はそう言った。」

ナオトの希望はリリムの一言によって5秒で打ち砕かれた。

……ええ。わかっていたさ。だって今いるこの森……どう見ても家の玄関先じゃないし。それどころか根本的に俺の住んでいた世界と違う気がする……

……非常に認めたくはないが……

異世界!?異世界なんですか!?

「……ナオト。ボーッとしてる。まだ寝ぼけてる?」

混乱するナオトの姿がリリムにはそう見えたらしい。相変わらずの虚ろな瞳で首を傾げながら彼の様子をうかがっている。

「いや、寝ぼけては……ん?寝ぼけ?」

そのリリムの一言でナオトの脳裏に現実的且つ合理的なひとつの可能性が浮かんできた。