ツンツン

「……うっ……う~ん……」

 ツンツンツン

「……う~ん……やめろって……」

 ツンツンツンツン

「あーもう!やめろって言ってんだろ!」

右頬の不快感に勢いよく上半身を起こすナオト。すると、見知らぬ女の子と目が合う。

「…………」

彼女は中腰のまま虚ろな瞳でじっとナオトの事を見つめていた。

「……ええっと。誰……?」

「……リリム。ナオトを探しに来た……」

ナオトの問い掛けに淡々と答える彼女。
 
「俺を?なんで?」

「……王の命令。ナオトを王の元へ連れて行く。」

……王。その単語を聞いた瞬間、ナオトの頭の中でヒロシとの会話がフラッシュバックする。

『ナオ君のお父さん。魔王なんだよ。』

……っていう事はあれか?彼女は俺の本当の親父の関係者で魔王の手下とか……?いやいや、待て待て。この現代に魔王とか有り得ないだろ。

ああ!そうか!きっと王さんっていう人が俺を探してるって彼女は言いたいんだ!

そう思えば全ての説明がつく……ような気がする!ナオトはそう自分を無理納得させた。

ちなみに王さんという知り合いには全く心当たりは無かったが。