特に話した訳でもない。
でも、人と触れあうのが楽しみなような人と、私は絶対に分かり合える気がしないから。
ただそれだけ。
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「さち!」
「……!翔兄」
学校帰り、年の離れたお兄ちゃんが私を待ち伏せしていた。
ルックスがいいからか、横を通る女のひとたちの視線を感じるのは私だけなんだろうな。
「どうしたの?何か用事?」
「用事がなきゃ来ちゃいけねぇのか?」
私の頭に手を置きながら、にっこりと微笑む翔兄。
「どうせ彼女とケンカしたんでしょ。分かりやすいよ翔兄は」
「ぎぐっ……。ち、ちげぇよ!お前に会いに来たんだ!ほら。肉買ってきたから。一緒食おうや!」
「しょうがないなー」
そう言って、二人肩を並べて歩く。
翔兄は…………
結婚を前提に付き合ってる彼女がいる。
週に2度ほど、私が一人だから会いに来てくれたりする。
ケンカしたって、どうせすぐ戻るくせに
そう思うけど、なぜかどこかに嬉しいと思っている私がいることは翔兄には内緒。
けどそろそろ
翔兄のことも、自由にしてあげたいって思う。
