むしろ問題なのは、姫がそういった経験が無い事で、残念ながら両親も恋愛結婚で早々に婚約していて、話を聞ける人がいないというところだったが、


「姫はそのままで大丈夫‼︎」


という父の熱烈な一言もあって特に対策はとらなかった。









さて、このお見合いの結果であるが、最終的には破談となった。


先方で別の縁談がまとまったからだ。


しかし、これにはいい面と悪い面が。


まず、父と兄たちはかわいい姫が人の手に渡らないと喜んだ。


次に、この話を聞いた他の年頃の令息たちからのお見合い話が殺到した。


しつこい相手だとわざわざ東洞家まで押しかけてくる者もいたものだから、怖がる姫は部屋から出ることができなくなった。


そんなこんなで姫の三月は終わり、その間かいがいしく面倒を見てくれた奥寺は屋敷を後にした。