「お兄様、どういうことなの?」

姫に可愛く尋ねられた和也はしぶしぶといった様子で口を開く。



「昨日父さんの書斎で資料を探していたら、父さんが電話で誰かと話してたんだ。『姫にお相手のことは話しておきます』ってね」



そういって肩を竦める。


「もう姫もそんな年か」


2人の兄のしみじみとした様子に、姫は若干慄く。

「いや、でも、だって、まだ高校生ですよ?」


まだ早い、そう切り返した妹。


ところが、そんなことない、と現実に突き落としたのはいつの間にやらやってきた三人の父で、東洞一家の主、東洞浩司その人だった。



その腕にはさっきまでケンカしていたはずの母、真知子がごきげんそうにくっついている。



今朝のケンカは母が勝者のようだ。