俗に言うボッチ飯。

前の学校に居た頃は当たり前だったこの時間がいつの間にかとても悲しいものになっていて、姫は彩り鮮やかな 弁当を箸でつつく。

「おいし」

料理長自慢の料理は、一人で食べても美味しいものである。


寂しくなんかないもん。


姫は一人、心の中で強がりを言って食を進めていると、


「美味しそうなもん食ってんじゃん」


横から伸びてきた手が姫の弁当箱の卵焼きを掻っ攫った。


「あ」


何も言えずにそれを見ている姫。


その手の持ち主は、確か同じクラスの仙崎花蓮という女子だった。

悪びれる様子もなく、ふふふと笑った彼女は、姫に一言。


「一緒にご飯食べよ?」