「ことと次第によってはとっちめるわ」
身に覚えのない責められ方をした姫は涙目で周囲の女子を見上げる。
「あ、あの、奥寺さんは私の…」
「姫ー‼︎」
遮ったのは奥寺だった。
二年生の教室に走り込んできた奥寺はその勢いのまま姫に抱きついた。
「まったくもー! すこーし目を離した隙にすぐそうやって姫をいじめるんだから、」
気が気じゃないよ、と姫を囲む女子を睨む。
「いや、これは、その…」
さっきの威勢はどこへやら、語尾がしりすぼまりになるみなさんに、お人好しの姫は、
「お、奥寺さん、私は別にいじめられたわけじゃ…」
と、弁解をする。
どう見てもしめられそうになっていたにも関わらず。
「はぁ、」
これ見よがしにため息を着いた奥寺は、姫の頭を撫で、
「仕方がないなぁ、」
と帰って行った。

