そのあとは、折角いい天気なので近くの河川敷に行ってみようということになった。

端午の節句で飾られているたくさんの鯉のぼりが清々しさをあおる。


「気持ちがいいですぅー」


クレープ片手に大きく背伸びをした彼女はそれでもまだ自分より小さくて


守らなきゃ、と思った。

守りたいと思った。


自然と苦笑がこぼれる。


今の立場のままでこんなことを考えても仕方がないのになぁ。

春の陽気のせいで少し浮かれているのは奥寺も自覚していた。


だからかもしれない。

ほころんでいた奥寺は気づかなかった。



姫を見つめる異様な視線に。



のちにこのことを、奥寺は深く後悔することになる。