メイドがめいめいに兄弟と妹の朝食の世話をしていると、ふと、長兄、和也が姫にこう言う。


ちなみに、和也は社会人として父の会社の経営を手伝っている。


「そういえば、父さんが言っていたんだけど、姫、お見合いが決まったそうだね」


………………


「はい?」



姫がまったく知らなかったことに気付いた和也は、しまった、というように天井をあおぐ。


「今のは忘れてくれ」


「そうは言われましても、気になりますわ」


「そうだね、僕も気になるよ」


年少の兄、律也も口を出す。


律也はまだ大学生だ。


自分に不利な展開となった和也はしどろもどろになりながら「俺が話したことは内緒だからな」と釘をさし、それを見た使用人たちはくすくすと笑っている。



どうやら、姫と律也以外のみなは事情を心得ているようだ。