「ねぇ、奥寺さん」


「はい、お嬢様。」


「学校で…」


「そのことですが、」


奥寺は姫のお茶菓子を用意する手を休め、姫を正面からのぞき見る。


すごく真剣な目だ。


「昼間の無礼をお許しください。お嬢様もお分かりの通り、わたくしのこの見た目はお嬢様をお守りするのに使えるのです。」


ソファに腰掛けた姫の前をはなれた奥寺は、窓の外の遠くを見つめる。


「わたくし、普段はあの学校の生徒会役員などもやっておりまして。なかなかに顔が広いのであります。」


「そう…」


あなたも大変なのね。


と、姫は気付く。


「でも、あなた茶髪…」


「そこはそれでございます。ただのオシャレです。」


奥寺はしれっと言い放った。