そんな珍出来事があったのに加え、珍しい本物の美人転入生は噂に噂を呼び、姫のクラスは休み時間のたびにてんやわんやだった。



その渦中にいたのはもちろん、



「姫〜、この問題わからない〜」


と休み時間の度にやってくる奥寺だった。



「あのぉ、私は大丈夫なので、奥寺さんもクラスに戻りませんか? このままだと周りのみなさんに迷惑を…」




「気にするなって」




当の本人はまったく気にしていない。



むしろ、「おれ、みんなのオウジサマだから」とナルシストぶりを発揮。


見物人の多さに慄く姫にそっと顔を寄せた奥寺は一言。


「おまえ、まだ男怖いんだろ?」


「えっ?」


「心配するなって。おれが声かけてるから、他の男は寄ってこない」


「?」