春休みの初日。



その日の朝も、姫はなじみのメイドに起こされ、一日の支度を整えられ、朝食の席についた。


朝食のダイニングテーブルには、彼女の二人の兄が先に来ていて、姫がやってくると、

「おはよう、姫」
「今朝も少し冷えるね」

とめいめいに声をかけてくれる。二人とも年の離れた妹が可愛くて仕方が無いのであろう。


姫も「おはようございます」と返す。


そして、

「お父様とお母様は?」

と、姿が見えない両親を探して首を傾げる。



それには、窓際に控えていた執事が答えた。


「お二人、寝室でケンカをしていらっしゃいます」


長年仕えていてくれるだけに容赦のない執事の言葉に、子供たちは首を横に振る。


これはしばらく待っても来ないや、と。

ケンカの原因は気にしないあたりが東洞兄妹である。