「ゔっ」
っと言葉につまる姫。
「だから、あなた専門の執事として、奥寺蓮を用意したの」
感謝してよね、と言い切った兵司さんをまえに、姫は一人うなだれた。
「お嬢様」
部屋に案内された姫は今、奥寺と二人きりである。
なんか、前と雰囲気が違う…
姫に付いてきた加宮は本家の事情で帰る事になり、姫の面倒全般は奥寺が見ることになったのだ。
「はい…」
見知らぬ土地に一人残されることになった姫は、心なしか不安げである。
それもそのはず、兵司さんは月曜日から仕事で街に戻ってしまうし、奥寺も現役高校生だということなので学校に行ってしまうのだ。
さすがに不憫に思ってくれた兵司さんの計らいで、姫が新しい学校に転入するのは5月になってからということになった。

