「あ、あなたは……」





「お呼びでしょうか」


黒髪とフレームレスの眼鏡、きっちりしたタキシード。


そこにいたのは奥寺蓮だった。






「まぁ、本当は私がつきっきりであなたの面倒を見てあげたいのだけど…」


と兵司さん。


「さすがに学校の中までは付いていけないし、私も一応忙しいしね」


「そ、そうですよね…って、私、学校行くんですか⁉︎」


「なに、いや?」


「じゃなくて、その、話の流れからいって共学っぽいのですが…」


「そうよ」


「私がなぜここに来たかっていうのは…」


「もちろん聞いてるわ」


そこで兵司さんはがばっと姫に掴みかかる。


「姫ちゃん、あなたいつまでそうやって逃げていられると思ってるの⁉︎ 社会に出たら『男の人こわ〜い』とかかわいいこと言ってられないのよ!」


無駄に迫力がある。