東洞姫は正真正銘のお嬢様である。


長い黒髪をなびかせ、ピンクふりふりのショートドレスを身につけ、東洞家の広大な屋敷を闊歩する彼女。その姿は世間一般の我々が想像するそのままのお嬢様である。


いくつかの言語を自在に操り、なおかつ様々なお稽古事をさらりとこなし、さらには容姿端麗で、文武両道で、明るく気配りのできる素晴らしい性格で……



とにかく、世の不公平を嘆きたくなるほどに素晴らしいお嬢様なのだ。



そんな彼女の悩みは目下のところ、若干バストサイズがおさないといったところのみで、はたから見たら大変満ち足りた生活を日々せっせと繰り返している。



それも、高校一年生の春休みまでは。