自転車を思いっ切り飛ばして駅に向かう。


『数学のノートかして』


朝御飯の時の望美の声が甦る。


私と望美は仲が悪い。


物心がついたときからずっと。



「お姉ちゃーんっ待ってぇ」

「はいはい、待ってあげるから早くおいで」

ふと、風に乗せて、そんな会話が聞こえた。


今思えば、そんな会話すらしたことがない。


する会話といえば、私が怒られるように仕掛けているかのような望美からの話だけ。


電車に乗る。車両は友達のいる、3車両目の1番前だ。