「夏目…?なんでそんなとこに座ってるの?寝ないの?」

「ん…ちょっとな。凛は俺と結婚したい?」

「ん…したい。」

「いつになっても変わらない?」

「ん…」

「俺さ、今日凛の親父さんに頼んできた。結婚させてくれって…」

「え…怒られたでしょ?」

「んや、全然。」

「嘘。そんな傷だらけで…」

今日のお見合いのことを本当に凛の父親にちくられてしまったらしい。

本当に怒られた。

それ意外にも、高校生なのに結婚とか言うな…とか。

「ふはっ、ばれた?」

「ふふっ…ばればれだよ。」

「そしたらさ…10年後も気が変わらなかったら勝手にしろってさ。」

「…… ……。」

「凛?」

凛は黙りこくっている。

「おい、凛。大丈夫か?」

そこでやっと凛の声が聞こえた。

「…っく…うぅ…私の事っ…10年後も好きで…いてくれますっ…か?」

凛は泣いてた。

月に照らされた涙が光って綺麗だ。

「…今まで10年も思い続けてきたんだ。100年でも千年でもずっと好きだ。」

「私もっ…この気持ちは変わらない…からっ!」

俺は凛のこと…つくづく好きだなぁって実感した。

この日の空は、真っ黒の紙にきらっきらの宝石が散りばめられたかのように輝いていた。