「っざけんな!!」

そう叫んで俺は増崎に回し蹴りをくらわした。

「いでっ!!」

増崎は大きくしりもちをついた。

「お前、拳法でもしてたっけか?」

「・・・ああ、俺はしてなかったけど、妹がやってたから、それ見てたらなんか覚えちゃってさ」

「あー、そうか。お前妹いたな。流明ちゃんだろ?」

「ああ。」

読み方はるあ。
たまにりゅうめいって読まれることがあって、男の子と間違われていた気がする。

「流明ちゃん、さすがにここまではついてこなかったんだな。」

「そりゃ、県越えだし・・・。親も反対するだろ」

そういって、俺はカバンを持ちなおし、

「んじゃ、俺、帰るわ。」

と言った。