「母さん！！母さんはいつも急すぎるんだよ！！なんで準備もしてないのに、こんな・・・」

『準備って・・・荷物まとめるだけでしょう？』

「けど・・・いろいろあるんだよ！」

『それにね、流明だってちゃんと了承してるんだから、別にいいじゃない。何であんたがそんなに怒るの？』

「それは・・・」

『・・・。じゃあ、切るわよ。』

「母さん！・・・日曜じゃダメ？」

『ええ？・・・別にいいけど・・・。何かあるの？』

「まあ・・・いろいろ・・・ね。いい？」

『ええ。いいわよ。・・・俊、“あのこと”なんだけど・・・・・・。母さんそっちに迎えに行くから、その時に話すわね』

そう言うと俺の返事も待たずに母さんは電話を切った。

俺には、母さんが具体的に言わなくても、“あのこと”が何のことなのかすぐに分かった。

「なあ、流明。」

俺の隣で話を聞いていた流明に俺が質問する。

「母さんから帰って来いっていう電話きたの・・・いつ？」

「俊が倒れてるとき・・・・・・。」

「ああ・・・今日か・・・・・・・・・」

俺は心配そうに見つめる妹の頭に手を置き、

「土曜日、遊ぼうな」

と言った。