「戻れるものなら私だって昔の私に戻りたい。けど、いくら考えたって過去の記憶なんて思い出せない。私はみんなの知ってる“私”じゃない。・・・。だから私はこの世で・・・」

「“流明たち”がいるじゃん！！！」

今までじっと話を聞いていた流明が叫んだ。

「昔どうだったかなんてどうでもいいじゃん！！流明は昔の咲ねえちゃんも今の咲ねえちゃんもみんな好き！！思い出なんて今からまた作ればいいじゃん！！この世界で居場所がなかったら流明たちが作るじゃん！！だから咲ねえちゃん・・・・・・・・・この世で独りとか言わないで・・・・・・」

ポロポロと大粒の涙を流しながら必死に訴えた流明は、そのまま“あいつ”の懐に飛び込んだ。

「・・・！！ちょ・・・！？」

“あいつ”は慌てふためきながらも少し笑顔で流明を抱きしめる。