「・・・俊・・・」

流明が静かに俺を呼ぶ。

「今日の晩御飯は・・・なに・・・・・・?」

放心状態の俺にはその言葉すら聞こえないわけで・・・・・・。

寮のベッドの上で、俺は今日の出来事を思い返していた。

――――――今日は一体何があった・・・・・・?

増崎に今日は秘密基地に行けないと言った。

すると増崎たちは俺らも行くといった。

病院でのあの騒ぎ。

いたって普通の看護師さんの登場。

そして彼女に連れられて咲の病室まで行って・・・・・・

それで、“あいつ”に会ったんだ。

俺はそこで安心した。

だから涙が溢れてきたのか・・・?

いや。違う。

俺は“あいつ”に笑顔を向けた。

「心配したんだぞ?」と。

流明も“あいつ”に抱きついた。

増崎たちも、その場があまりにも神聖すぎたのか、静かに“あいつ”に頭を下げる。

だが“あいつ”はいつもみたいに笑わない。

「流明も帰ってきたんだ!・・・仮だけど。ww」と俺が言う。

だが“あいつ”はいつもみたいに笑わない。

「咲ねえちゃん?」と流明が心配そうに“あいつ”を見る。

だが“あいつ”はいつもみたいに笑わない。

「おい・・・咲・・・?どうしたんだよ・・・?」

俺はそこで、いつもみたいに笑ってほしかった。

“咲”に。

だが、“あいつ”は笑わなかった。

無慈悲な表情を浮かべて、俺と流明に、言い放った。