「流明・・・!!」

俺は流明の方に向き直すと、

「ごめんな。俺が全部悪かった。許してくれ」

思ってもないことを言った。

所詮そんなもんさ。年上は。

「・・・。流明も・・・悪かった。本当の事言ってなかった。実はね、お母さんが・・・」

「聞いたよ。母さんから。」

俺は口調が豹変した流明にそういった。

「寮の先生も、たぶん今頃事情を聞いてるはずだ。だから、流明。寮に帰ろう」

そう言って俺は流明に手を差し伸べた。

流明はそれを見ると、ぱっと笑顔になり、

「僕と手を繋ぐと?小さい子扱いはやめろ!」

いつもの口調に戻り、一人で歩き出した。

「ったく・・・」

俺はそう呟くと、流明を追いかけた。

空には、夕焼けに照らされたちぎれ雲が赤く燃えていた。