「莉子の疑問はもっともだけど・・・・お前の母親、今外に出せるような状態じゃねえから
街ですれ違うなんてことはないだろうな・・・」



えっ・・・・外に出せる状態じゃないって・・・どういうこと?




「蓮・・・・お、お母さん何処か悪かったりするの?」



「・・・・・・」




蓮はしばらく黙りこくったあとあたしの手をそっと握りしめ話し出した



「今、A市にある加賀美総合病院の精神科に入院してる・・・・もう2年位前から精神状態が
おかしくなってこの病院に入院してるんだそうだ」




精神状態がおかしいって・・・・なんでそんなことに・・・



お母さんがあたし達を捨てて出て行ってから今までお母さんに何があったの?



あたしは蓮の手を握りしめると蓮のほうに向きなおって話を聞いた




その話は驚くことばかりであたしの心を打ちのめすのには十分な内容だった




「莉子のお母さん、看護婦さんだったろ?休職してた看護婦の仕事に復帰したのは莉子が小学校一年生くらいの時だった・・・・そうだよな?」




あたしが頷くと蓮はゆっくりと話し出した



加賀美総合病院・・・・・そこの跡取り息子加賀美航さんとはお母さんは高校の同級生



もちろんお父さんとも同級生で・・・・あたしが小学校に入ったら看護婦の仕事に復帰しようと考えていたお母さん




働きたいと加賀美航さんに相談したら快く了承してくれてすんなり就職が決まったらしい




ここで働いたことで運命があらぬ方向へ進んでしまったなんて誰も思わないだろう