「俺も、あんな風に母親に抱かれてたのかな・・・全く記憶にねえけど・・・」



「蓮・・・・・」




相変らず一向に泣き止まない赤ちゃんをあやしているお母さんを見ながら蓮は呟く



お母さんは赤ちゃんの背中を優しくポンポンと叩くとベビーカーからおんぶ紐を取り出して
赤ちゃんをあっという間に背中におんぶした



「母親ってすげえな・・・・俺の母親もあんなふうだったのかなって思うと今生きていたら
どんなだったのかなって思うときがある」




蓮はあたしの方を向いてそう言うと笑みを浮かべながら話し出す



「ほとんど記憶にねえし俺の中での実の母親は写真のなかの母親しか知らねえ・・・親父から
色々生きてたころの話とか聞いたりするけどなんか実感が湧かねえってのが正直なところだけど・・・・だから莉子には母親のことで辛い思いさせたくねえし、俺は莉子の母親が家出てったのにはそれなりの理由があると俺は思ってる、俺みてえに死んでんなら別だけど生きてるんなら逢ってわだかまりを無くしてほしいって思って・・・・俺、お前の母親のこと実は調べてみた・・・・」




えっ・・・・今なんて?



蓮、お母さんのこと調べたって言ったの?




「莉子に黙って調べたことは本当に悪いと思ってる・・・・でも、俺はお前の母親に結婚式に出席してもらえたら・・・そう思っただけなんだ、すまない」




蓮はあたしの手をそっと握りしめると泣きそうな顔でじっと見つめていた