「一人で大丈夫?俺・・・送ってこうか?」



「平気!平気!タクシー拾って帰るから・・・・大丈夫、今回は色々迷惑かけちゃってごめんね」




「莉子ちゃん・・・・・」




心配そうに病院の入り口の前で送って行くとしきりに言う涼くんのお誘いを振り切ってあたしは荷物を抱えると手を振ってさよならをする




あたしは足早に駅前のターミナルを目指すとタクシー乗り場に停車してあるタクシーに乗り込んだ




運転手さんに行先を告げるとぼーっと走り去る景色を眺めていた




沢山の人が行き交う・・・・親子連れ、友達同士で笑い合う高校生くらいの女の子




そして仲の良さそうなカップル



笑い合う見知らぬ人たちは誰も彼も幸せそうで・・・・



なんだかこの世界で自分だけが一人きりで取り残されているような孤独感が押し寄せてくる




もう・・・・このお腹の中に蓮の赤ちゃんはいないんだ



嫌でも突き付けられる現実があたしを苦しめる・・・・一瞬頭を掠めるのは週刊誌の記事




湧き上がる嫉妬心を無理矢理封じ込めると赤ちゃんを守れなかった後悔があたしを襲った





ごめんね・・・ママ失格だね、まだパパにもあなたのこと知らせてないのにあなたを死なせてしまった、後悔ばかりがあたしを襲う






声を殺してタクシーの車内、俯いたまま涙を流すしかなくて・・・誰もいない自宅に帰るとあたしは大声で泣き叫ぶ




あしたからはちゃんと笑顔になるから・・・今日だけは思いっきり泣きたくて嫌ってほど泣き
尽くしたあたしはそのまま意識がぷっつり途絶えいつの間にか夢の中にいた