「よかった・・・・ふたりとも・・・」




「気が付いたら二人とも居ないから驚いたよ、大丈夫だった?ごめんね拓巳と蓮のじゃれあいがなかなか終わんなくてさ」




「なんだと?そもそもおまえらが「東條君」」




慎ちゃんの声が蓮の声に重なる



いつになく真剣な表情にあたしは食い入るように慎ちゃんを見つめていた




「東條君が莉子のお父さんとどんな約束をしたのかなんて俺は知らない・・・・でも」




「でも、なんだ・・・・」




蓮の声が周りの喧騒に掻き消される



あたしは慎ちゃんが何を言うのか恐くて浮き輪をぎゅっと掴んでいるしかなかった



「君が莉子を守れないんなら・・・・莉子の手を離したときは遠慮なく莉子を俺の物にする」




「・・・・・・・」




一瞬、時が止まったような気がした



それって・・・・どういうこと?



これは蓮に対する宣戦布告?頭が混乱するあたしに蓮の言葉が耳に響く



「莉子を手離すなんてありえねえ」





驚きの表情を浮かべるみんなの前で蓮はあたしの浮き輪をぐいっと引き寄せた