「慎ちゃん・・・・美帆ちゃんの声、早く出てくれるといいね」



「そうだな、何時になるかわかんないけど・・・俺みたいに手術して治るようなもんでもないしな」




慎ちゃんは美帆ちゃんに渡されたメモを見ながら辛そうな表情を浮かべた



何が原因でそうなったのかはわからないけれど美帆ちゃんの声は絶対にもどる!




きっかけさえあれば絶対に戻る・・・・そんな気がしてならなかった



そんな時玲奈ちゃんの明るい声が響き渡った



「龍音寺さん!春さんたちが持ってきてくれた焼きそば早く食べようよ~さっきの・・・・
美帆ちゃんだっけ?お手伝いもいいけどせっかくの夏休みなんだから美帆ちゃんも誘って
みんなで遊ぼうよ~何かのきっかけでぽろっと声が出たりすることもあるかもしれないし・・
あたし達も協力するよ」



玲奈ちゃんがスポーツドリンク片手ににっこり微笑みながら話し出した



玲奈ちゃんの一言がきっかけで皆がその話題で盛り上がる



玲奈ちゃんも長い間入院してリハビリを繰り返しやっと歩けるようになった




茜ちゃんも喘息で病院とは切っても切れない生活



そんなふたりだからこそ美帆ちゃんの辛さが解るのかもしれない



「そうよ龍音寺さん!美帆ちゃんも友達誘ってもいいからさ、夜みんなで花火でもして盛り上がろうよ!精神的な病だからどうしようもないかもしれないけど何かのきっかけで声が戻るかもしれないし・・・・きっとみんなでわいわいやってれば自然とふっと出て来たりするもんよ
色々考えてもしようがないから神様の悪戯かしら?位に思ってた方がいいかも」



茜ちゃんはそう言い放つと座って焼きそばを食べ始めた



神様の悪戯・・・・妙にその言葉が心に残る