「あれー。光ちゃんご機嫌斜め?」
朝の一件のせいですこぶる機嫌の悪い私を見て、友人の間島 瑠夏(マシマ ルカ)は小首を傾げた。
瑠夏はクラスでは目立たない存在で大人しく見られがちだが、決して皆が思っているようなおしとやかタイプではない。
「光ちゃん、自分の機嫌が悪いとモノにあたる癖やめなきゃダメだよ。迷惑になっちゃうからね?」
瑠夏はそういって、私の机に置いてあるグシャグシャになった紙パックのジュースを指差した。
思い出しイライラのせいで、中身がまだ少し入っているにもかかわらず握り潰してしまったのだ。
そのせいで机にジュースが飛び散ってしまい、自分で掃除する羽目になっていた。
「後先を考えなきゃね。」
おっとりとした口調でズシズシと痛いところを突かれると、私は参ってしまう。
「次から気をつます…」
…瑠夏には敵わない。
「それで、紙パック握り潰すに至った経緯はなぁに?」
