「だから、撮ってない。撮ってたとしても…どうせ俺にはなんの意味もない。」


そう、私に吐き捨てた彼は有無を言わさない目で私を黙らせ、身を翻した。


そして足早に神社を後にしようとする。

階段の1段目に足をかけ、あぁこのままきっと彼は1度も振り向かずここから去る。




そう確信して、ただ呆然と突っ立って彼の背中を見つめていた。








しかしそんな私の確信を裏切った彼は…



「…名前」



もがくような焦燥を感じる声と吐息で、




「お前…名前は」




ハッキリとそう言った。