透明メロディ



今までの私の経験では、深山色に対する対処法は見つからない。



現段階で嫌われているのか、好かれているのか、それさえも皆目見当がつかない。


皆の興味と瑠夏のニヤニヤ顔を振り切るように教室を後にして、私たちは屋上にやってきた。


昼休みももう終わりの時間。
いつもは賑わっている屋上も、まばらに人がいるだけだった。


ここなら、大丈夫かな。


なんの話…だろ…。





「……。」


「……。」



私の後ろをついてきていた深山色に振り返って、話を聞く体制になったのにもかかわらず、何故か2人の間には沈黙が流れた。




いやいやいやいや。
話したいっていったのあんたでしょうが。


そうツッコんでしまいそうになる衝動をぐっと堪えて、もう少し待ってみる。



「あの、さ」

「うん。」



歯切れ悪く、口をパクパクさせる深山色は、私に一喝した朝の面影は感じられない。

それでも相変わらずの存在感を放つ青の瞳。





…やっぱり綺麗だな。






私がポケッと青の瞳に見とれていると瞬間、その青がキラキラと輝いた。




「これから一ヶ月。一ヶ月だけでいい。放課後、ワンフレーズでもいい……






俺の前で歌ってくれ。」


力強く鮮明に、彼のビー玉みたいな瞳が意志をもったように見えた。