朝、私を貶してから今までの間に彼にどういう気持ちの変化があったのだろう。
ごく一般的に考えれば、あの別れ方をした後に私に会いに来る深山色の行動は理解できなかった。
面倒臭いといったのも、あの場から立ち去ったのも、深山色の方だ。
「いい…けど、場所変えない?」
皆、気にしないフリして実は興味津々。
教室に見慣れない男子が女子を訪ねてきたのだ。昨日のドラマの話をしてるそこの女子も、次の時間の小テストの勉強をしてる男子も、実は聞き耳をたててる。
皆、平凡な日常を過ごしてる中で物語を探してる。
それが例え他人のものであっても。
私はその興味の対象になるのが嫌で、場所の変更を申し出た。
「…じゃあ屋上でいいか」
その分かりにくい興味は、深山色の私に対する興味とはまるで違って見えた。
彼は、何かを我慢しているように見える。
行きたくない方に引っ張られてるわんちゃんみたい。
すごく不機嫌に見えるのに、どこか不安気で。
…苦しそう?
どうしよう、本当にこんなに理解不能な人間は初めてだ。
