瑠夏は私の可笑しな会話の詰まりを不審に思ったみたいだけど、それ以上深くは踏み込んでこようとはしなかった。
「…あ、えっと、そう!それでね。なんとその人制服同じだったの!」
「へ?てことは同じ高校?」
そう、あの制服は確かにこの高校のものだった。
きっと、彼も気づいてた。
だから焦って名前を聞く必要なんてなかった。お互いに。
だけど、私が名前を聞いたのは問われたから。彼は興味のないフリをして、明らかに私に興味を示していた。
じゃないと名前なんて聞かない。
自惚れでもなんでもなくそう思う。
「で、どうするの?」
「どうする…とは?」
一通り話の流れを整理したらしい瑠夏は何故か楽しそうにそう聞いた。
「そらぁ、そんなにドラマチックな出会いがあったわけじゃない。光ちゃんは青の君を探すのかなぁって。」
ふふふと笑う瑠夏は、きっと何かを期待してる。
「どうもしないよ。」
でも、残念ながら瑠夏の期待には答えられない。
私はこの件に関して自分からどうこうするつもりはなかった。
でもきっと、ううん絶対。あの人とはすぐにもう一度出会うことになるんだろう。
何故か確信していた。
彼はあの声でまた私の名前を呼ぶのだろう。
