くしゃくしゃと髪をかきながら、眠そうに教室に入ってくる。
「おはよう、拓海。今日は早かったじゃない」
隣に座った拓海に遥が問う。
私と拓海は隣同士…一番後ろの窓際。
「ん。あぁ…、なんか今日は早く目が覚めたから」
大きな伸びをしながら拓海が答える。
『あ…、寝癖ついてる』
不自然に一束だけピンッと立つ髪に目が行く。
「ん?」
「っ!!」
不意に拓海と目があう。
「なんか付いてる?」
寝癖の付いていない方の髪をくしゃくしゃとする拓海。
「寝癖。寝癖ついてるよ」
拓海の頭を指差しながら
プッと噴き出した。
「え!?嘘!?は、恥ずかしっ」
"こっち見んなっ"と髪を押さえたままプイッと窓の外を見る拓海。
照れるとすぐそっぽ向くところも変わらないな。
「気づかなかった拓海くん」
ちゃかす遥。
「うるせっ」
と言いながらも、こちらを一切見ない。
別に特別おかしいわけではないのに…
「そんな拓海も可愛いぞっ」
バッと拓海に抱きついたのは…