美愛都side

今日から高校に入る。
憧れだった高校の真新しい制服に身を包み、中学の時はひざ丈だったスカートもひざ上にした。
私は髪をサイドに縛って白いシュシュを着けた。
身だしなみのチェックを終えると下へ降りて家族みんなで朝ごはんを食べた。
朝ごはんを食べ終えると、お父さんが広げて読んでいた新聞をたたみながら時間を気にして時計とにらめっこしていた。
「入学式は9時半からだったよな?」
お父さんは時計を見たまま私に聞いてきた。
「そうだよ。あっ!てか、お父さんのネクタイ緩んで曲がってるよ。」
「えっ?あぁ。」
私はお父さんの緩んでるネクタイを締めて曲がっているのも直した。
「あらあら。お父さんまた美愛に直してもらって!いつまで美愛にやってもらえるかしら
 ね♪」
お母さんは笑ってお父さんに言った。
「いつまでって、美愛は一人暮らしするまではお父さんのネクタイ直すもん!!」
「そんなこと言って高校入って少ししてみな、友達はまだしも彼氏なんて出来たら家に帰
 って来なくなるし口も利かなくなるから。」
私より4つ上のお姉ちゃんがコーヒーを飲みながら言ってきた。
「そんなことないよ!彼氏ができても家にちゃんと帰ってくるし、口も利くもん」
そんな私とお姉ちゃんのやりとりを見てお母さんはほほ笑んでいた。
私は鞄を持って玄関へ向かった。
するとお父さんが来て「美愛、変な男に、、捕まるなよ」とぎこちなく言ってきた。
私は「心配しすぎだよ。美愛は何歳になっても彼氏が出来ても変わらず、美愛のままだよ」とお父さんに笑って言って勢いよく家を出た。

この時の私の考え方は幼かったのかな・・・?
まさか、自分があんなに変わってしまうとは予想もしていなかった・・。



「~♪~♪」
私の携帯の着信が鳴った。
ディスプレイを見ると中学からの親友の夏菜子と表示されていた。

―――――――――――――――――――――――――
from 夏菜子
―――――――――――――――――――――――――
to 美愛都

×××駅で待ってるね。
中学から引き続きよろしくね♪
夏奈子の一番の親友ちゃん!
―――――――――――――――――――――――――
と書かれていた。
私はメールを返さず、夏菜子の待つ駅まで速足で向かった。

数分で夏菜子の待つ駅に着いて辺りを見回して夏菜子を探していると、駅の改札のすぐ横に携帯をいじっている夏奈子がいた。
「夏菜子!!」
「あっ!美愛都ーー♪」
夏奈子は笑顔で私の元へ走ってきて思いっきり私に抱きついてきた。
「久々だね!春休みに一回遊んだきりだもんね♪」
私も夏菜子に抱きつき返した。
「んね!じゃあ、学校に向かって出発ーー♪」
夏菜子は私の手を取って走り出した。
私は夏菜子に引っ張られるままに走った。

走ったからなのか約10分くらいで学校に着いた。
正門の近くには今日から同じ学校に通う生徒たちでごった返していた。
「あぁー!もう、これじゃクラス表見えないじゃん!!」
夏菜子はかなりうざったそうに言って私の手を取ったまま正門からどんどん中へ無理やり突っ込んでいった。
「あっ!うちと美愛都は・・・同じクラスだ!!」
夏菜子はクラス表のB組のを指さして言った。
私も無理やり人ごみに突っ込んで一番前まで行き、B組の生徒の名前から自分の名前と夏菜子の名前を探した。
私と夏菜子の出席番号も前後で席も近いことが分かって二人で喜んだ。

先生たちの指示に従って私たちは教室に向かった。
教室に着くと私と夏菜子の席は廊下側の一番後ろとその前にあった。
私たちは席に座ってこれからどうしたいとか、カッコいい人はどの人かなどくだらない話で盛り上がった。
すると担任の先生らしき人が入ってきて教卓に立った。
「新入生のみなさん、はじめまして。
 今日からこのクラスを担任する青山です、一年間よろしくお願いします」
私たちの担任の先生は綺麗な女の先生だった。

担任の自己紹介が終って色々な説明を聞いてから入学式の会場の体育館に向かった。
体育館に着くと新入生が、がやがやと騒いでいた。
私は夏菜子と話に夢中になっていると
――― ドンッ!! ―――
何かにぶつかって振り返るとぶつかったのは物ではなく男子生徒だった。
ぶつかった男子生徒もこちらを見ていた。
よく見ると顔が整っていてカッコよかった。
黒髪のストレートで鋭い目をしていて、服装は制服の学ランは短くて腰より少しだけ上までしかなくてズボンはボンタンやニッカのようにダボダボで腰パンがすごかった。
おまけに長いチェーンがだらりとズボンにぶら下がっていた。
しかもピアスとネックレスも・・・。
入学早々、校則違反だらけの服装だった。