「それにしても…。」
容保様には、なんと報告すれば良いのやら…
それ以前に報告に行けるのかどうかも定かではない。
縄で縛られているから、逃げる事も無理だろうし、刀もない。
流石に新撰組は丸腰の人間が抜け出せるほど簡単な場所ではないだろう。
「…本当の事を伝えてはならぬだろうし。」
拷問はごめんだ。吐くことなど何もない。
嗚呼、面倒臭い。
俺は長州の浪士を探しているのだ。
人探しの最中なのだ。復讐も果たしていないのに。
隙間から光が差し込んできた。
徐々に起き出す長州浪士達。
「嗚呼もう…なるようになれってか。」
俺は、何回目か分からぬ溜息をついた。